食事を考える一冊

運動ゼロ、カロリーを考えずに好きなものを食べてやせる食生活  堀口逸子、平川あずさ 著/木村いこ マンガ

2022.12.16

管理栄養士と科学者による、日々の食事スタイルを大切にしたダイエットの記録

ダイエットに失敗したという声をよく聞きます。大好きな甘いものを我慢できない、結局リバウンドしてしまった、食事を減らしすぎて体調をくずしてしまったなど、いろいろなパターンがあるでしょう。何かを極端に制限して、体調を崩してしまっては元も子もないですし、カロリーや栄養素にばかり気をとられると、食事が楽しくなくなってしまいます。

タイトルが示すように、この本には、無理なく、楽しくやせるこつが詰まっています。

東京理科大学薬学部教授の堀口逸子さんは、内閣府食品安全委員会の委員を務めていた当時、転んで両足を骨折してしまったのを機に食事を見直し、太りすぎていた自分の体重管理をしようと思い立ちます。相談したのは、食品安全委員会で一緒に仕事をしていた管理栄養士の平川あずささんでした。

平川さんは、「何をどれだけ食べればよいか」をシンプルに堀口さんに伝えるよう工夫します。カロリーや栄養素を厳密に計算せずに、大まかに把握する感覚を伝えたのです。

たとえば、一食の摂取目標を「肉・魚・卵」などを100g、「ごはん」を100g、「野菜」を100gに設定し、それぞれの食品を3食で300g摂取する習慣が身に付くよう導きます。同時に、仮に外食などで1食の栄養バランスを欠いてしまっても、その日が3食トータルで300gになるよう、ほかの食事で帳尻を合わせる感覚も養っていきます。

こうすることで、栄養バランスを著しく欠いた食生活を防げるようになり、自然にやせて適正な体重に落ち着くのです。また、骨折して体が不自由な堀口さんでも無理なく実践できるよう、コンビニの商品も取り入れることを許容し、調理の手間を省きました。一方の堀口さんも、作り置きのレシピをたくさん考え、満足感が得られるよう、小さな器に盛り付けて実際の量よりも多く見せるなど、日々の工夫を積極的に楽しみました。そんな堀口さんの姿勢を平川さんはほめることで、やる気と継続力を引き出します。ここでは管理栄養士のコーチングと患者の積極的な取り組みによる相乗効果がみられます。活発なコミュニケーションでお互いが学び合う関係性の構築は、栄養指導の現場で活躍する管理栄養士・栄養士の参考になるでしょう。

このように、この本には、管理栄養士と患者の双方が手を取り合って、無理なく自然にやせていく食生活の成功例が書かれています。一般読者は、自分でもできそうなダイエットの指南書として読めますし、管理栄養士・栄養士は、成功した食事指導の記録として読めます。また、自然にやせる食生活とは、裏を返せば、毎日続けられて健康的な食生活であることもわかるでしょう。そんな示唆に富んだ一冊です。

運動ゼロ、カロリーを考えずに好きなものを食べてやせる食生活
堀口逸子・平川あずさ・著/木村いこ・マンガ
1,320円(税込み)池田書店