食事を考える一冊

日本の食生活全集・伝え継ぐ日本の家庭料理 

2021.11.7

おばあちゃんのあの料理、作れますか?日本の食生活の貴重な記録

今回は「食事を考える1冊」という連載の1回目にふさわしい、2つの全集を紹介します。

日本の食生活全集・全50巻

まず、ご紹介するのは「日本の食生活全集・全50巻」<です。こちらの全集は47都道府県の食事+アイヌの食事と日本の食事事典2冊の計3冊が加わった全50巻で構成されており、世界最大級の食文化のデータベースになっています。

食生活は時代や環境の影響でどんどんと変わっていくもの。誰かが記録しなければ、自然に忘れ去られてしまう。1984年から20年かけて全国各地を訪ね、およそ5000人を取材してまとめたのがこの全集です。すべて聞き書きによって記録したという点がこの全集の最大の特徴といえるでしょう。

その土地ならではの食事の工夫、冠婚葬祭の料理、晴れの食事など、さまざまな切り口で語られるリアルな食事の数々。ここに掲載されている食生活の中には、すでに失われた風景も少なくないとのことで、本当に貴重な記録となっています。

そしてそれぞれの食生活の根底には、家族においしいものを食べさせたい、健康でいてほしいというお母さん、おばあちゃん(あるいはお父さん、おじいちゃん)たちの愛情があることがわかります。自分や両親の出身地の巻をめくってみると、昔食べた懐かしい料理と再会できるかもしれません。

【書籍情報】
日本の食生活全集<全50巻>
一般社団法人農山漁村文化協会刊 151,910円(税込)
※1冊ずつの販売もございます。

伝え継ぐ日本の家庭料理・全16冊

次にご紹介するのは、「伝え継ぐ日本の家庭料理・全16冊」です。「おばあちゃんが作ってくれたあの料理、とてもおいしかった記憶はあるけれど、どんな材料でどうやって作っていたの?」そんな疑問に答えてくれるのがこのシリーズの特徴といえるでしょう。

最初に紹介した「日本の食生活全集・全50巻」は、地方ごとの食生活の記録でしたが、「伝え継ぐ日本の家庭料理」は、日本の家庭料理の具体的なレシピを聞き書きしてまとめたものです。一般社団法人・日本調理科学会が、100年後にも残したい全国の家庭料理を以下の基準で選考した、選りすぐりの料理が並びます。

1 およそ昭和35年から45年までに地域に定着していた家庭料理
2 地域の人々が次の世代以降も作ってほしい、食べてほしいと願っている料理

こちらの全集は「炊き込みご飯・おにぎり」「魚のおかず」など、テーマ別になっていて、毎日の献立を考えるときにも役立ちます。あなたがもう一度食べたかった、おばあちゃんのあの料理が載っているかもしれません。

どちらの全集も、現代を生きるわたしたちが、毎日の食事を考えるヒントが満載です。1冊ずつでも購入可能ですので、まずは気になる巻を手に取ってみてください。

【書籍情報】
伝え継ぐ日本の家庭料理<全16巻>
一般社団法人農山漁村文化協会刊  28,160円 (税込)
※1冊ずつの販売もございます。